「先生・・・どうなんでしょううか?病状は・・・」

「ええ・・・もう少しかかりますね。」

「そうですか。」

ガンは摘出しても、また転移する。

さゆりはそれを恐れていて、精神的にも落ち込んでいた。

「いつ出れるのかな・・・」

「大丈夫だよ。」

聡はそう励ますしかなかった。

「うん・・・頑張る。」

さゆりは毎晩2人を見送ると

こっそりと、久保にメールを送っていた。

「もうだめかな・・・」

そんな弱気なさゆりに久保は

「ごめん。何にもしてあげられなくって・・・」

そんなやりとりがもう何か月も続いていた。

「そろそろ・・・引き際かしら・・・」

ふとよぎる、さゆりの思惑どおり久保も答えを出していた。

「ごめん・・・お前の事・・・最後まで見てあげられない。」

「いいの・・・わたしこそ・・・ありがとう。」

たとえ病気を克服しても、また男女に戻れぬと確信していた2人。

さゆりと久保は、その終焉を

本当に穏やかに迎えていた。