「愛しき息子へ」?・・・なによ・・・

芽衣はその一冊を見るなんて、聡は気づいていただろうか・・・

「せい。

お父さんは元気です。

まだまだ、寒いけど、風邪などひいてませんか?

お母さんと仲良くしていますか?

お父さんは仕事が終わると

野球のテレビばかり見ています。

せいは野球は好きですか?

いつか一緒に見に行きましょう。

パパより」

こんな何気ない日常の話を

淡々と・・・毎日・・・

「もうすぐ・・・入学?」

芽衣は聡の息子が小学生になることを知った。

「何よ・・・あの人ったら・・・」

芽衣は思わず涙ぐむ。

そんな文章がそこには記されていた。

「おい・・・どうしたんだよ。・・・」

聡は、涙ぐむ芽衣が心配で・・・

「本当にごめんなさい。」

芽衣はただただ、そう言って聡に謝り続けた。

「いいんだよ。

そんなに泣くなって。」聡はそっと芽衣を抱きしめても

芽衣はしばらく泣き続けていた。

「結婚しよ・・・・」

聡は、そう決心していたにもかかわらず

芽衣は

「結婚できません・・・」

そんな答えを出していた。