スピカ ―記憶の欠片―


「おまえさー、ホント馬鹿」

「は?」


……初対面の人にいきなり、“おまえは馬鹿だ”発言をされた。


なんだか悲しい。無性に悲しい。

人生を後悔してしまう。



「いきなり馬鹿は酷いですよ!」

「……馬鹿に馬鹿って言ってどこが悪いんだよ」

「ば、馬鹿って言った人が馬鹿です!」

「屁理屈野郎」


一言で切って捨てられた。


どうやら私は、口げんかに弱いらしい。

新たな発見だった。……というか、したくもない発見だった。



「おい」

「何ですか!?」


さぁ、次は何を言われるのかな?


「敬語気持ち悪い」

「……あぁそうですか」



敬語を否定された。

世界で通用するマナーなのに。



私、この人に何かしただろうか。

別にそういう覚えもないが。



そして一つの答えにたどり着く。



「……もしかして、私のこと嫌い?」