スピカ ―記憶の欠片―




私もそろそろ病院に戻ろう。ずいぶん身体が冷えてしまった。

私はそっと病院の小さな扉を開ける。




「スーピッカちゃーん!」

「ま、マリさん!?」


いきなりの襲撃、もといマリさん。

テンションあげあげで飛びついてこられると、こちらも反応に困る。



「名前、決まったんでしょー。これで呼びやすいわ」

「あぁ、はい。さっきヒノが決めたんです」

「先生から聞いたわよ。すっかりヒノくんと仲良しね」

「……仲良しっていうか」


適当に決められただけなのだが。


それは伏せておくべきだろう。

これからのためにも。



「そういえば、先生が呼んでいたわ」

「分かりました。行ってきますね」

「話が終わったらお風呂に入って寝てね。寝室はあの部屋だから」


あの部屋、とても気に入った。


綺麗な海が見えるなんて、最高だ。

ついつい自分の状況を忘れ、気分がよくなる。



院内の地図を確認する。

先生の部屋は、2階らしい。


ちなみにヒノの部屋は、私の部屋の隣らしい。

これはまた、偶然なのか何なのか。



リズムよく階段を上り、先生の部屋を一直線に目指した。


話が終わった後にでも、先生たちのことや、ヒノのことを聞いてみよう。


それぐらいの詮索は許されるはず。