物が食べられなくなるなんて俺には想像もつかない。
空腹とは感じないほどの何かに怯えて悲しんでいるのだろうか。
俺よりもひとまわりふたまわりほど小さなその身体でどれだけでっかいものを抱えているんだ。
まだ目を覚まさない彼女の手をそっと握る。
すると彼女からぎゅっと握り返してきた。
目が覚めたのかな…?
と彼女の顔を伺った。
「や…ぃゃ。
待って。いや。いや!」
彼女はそう口にしてさらに俺の手を強く握る。
これは起こした方がいいんだろうか。
「ごめん…ごめんなさい。」
そう言った彼女の目からは一筋の涙が零れ落ちた。

