いつもはゆっくりとおり過ぎて行く景色が、今日は一瞬にして流れていく。






風を切る。







まさにそんな感じだった。




前を走る彼は凄く楽しそうな。嬉しそうな。そんなだった。





私自身、走るのは苦手ではない。
でも好きでもなかった。
苦しいから。





走るって気持ちいいんだ。





初めてそう思えた。




「あ。もう学校だ!
安積さんちょっとスピードアップするよ!」




「うん!」





無我夢中で走った。






遅刻したくない。






とかそんな気持ちじゃなかった。







けど、言葉で言い表せない。







心の奥底があったまるような。







そんな感じだった