「姉と正樹さん、インターハイの地区予選会場で出会ったの」
沙耶が思い出したように語り出した。
「あっ私も今年ソフトテニスで出場しました」
「正樹さんは軟式テニス部の応援に来ていたの。ほら、まだその頃は、そう呼ばれていたのよ」
「はい。ソフトテニスと呼ぶようになったのは最近だと聞いています」
それは珠希に聞いたことだった。
珠希は突然のルール改正で物凄く戸惑ったことを美紀には話していたのだ。
「高校は違っても同じ町の……、私の姉だから当たり前か」
沙耶は少し口籠った。
美紀には、その光景を思い出しているように映っていた。
珠希が出場した高校総体予選会場が何処なのから想像も付かない。
でもその会場に沙耶もいたのではないかと思った。
「二人は其処で意気投合したと聞いているわ」
沙耶は聞いていると言った。
でも本当はその現場にいたのだ。
美紀の勘は当たっていたのだ。
(意気投合か? 私何言ってるんだろ)
沙耶は、小さくため息を吐いた。
美紀は小さく呟いて沙耶に目を向けた。
「もしかしたら、直ぐ結婚ですか?」
「ううん。姉は二歳年上で、短大で体育教師の免許を取ったの。男性が結婚出来るの十八歳からでしょう?」
「それじゃママから?」
沙耶は頷いた。
「プロレスラーになりたいと言う夢を叶えさせてあげたくてね」
「だからママは、中学の先生になったのか」
短大によって異なるが、栄養士、保育士など就職に有利な資格が得られる所がある。
中学の体育教師もその一つだった。
珠希は正樹の夢のために、正樹の生活を支えることを視野において体育教師の道を選んだのだった。
美紀は沙耶に甘えながら、正樹を愛した産みの母の苦しみことを思っていた。
正樹が大好きだった智恵は中学卒業後一人暮らしを始めた。
元施設長を保証人に頼んで、正樹の実家の近くにアパートを借りた。
少しでも近くにいたかったのだ。
そんな事情を知らない正樹は、結婚の準備を着々と進めていたのだった。
傷ついた智恵を慰めたのが美紀の父親である真吾だった。
心の底から愛を捧げて、また支えてあった。
沙耶が思い出したように語り出した。
「あっ私も今年ソフトテニスで出場しました」
「正樹さんは軟式テニス部の応援に来ていたの。ほら、まだその頃は、そう呼ばれていたのよ」
「はい。ソフトテニスと呼ぶようになったのは最近だと聞いています」
それは珠希に聞いたことだった。
珠希は突然のルール改正で物凄く戸惑ったことを美紀には話していたのだ。
「高校は違っても同じ町の……、私の姉だから当たり前か」
沙耶は少し口籠った。
美紀には、その光景を思い出しているように映っていた。
珠希が出場した高校総体予選会場が何処なのから想像も付かない。
でもその会場に沙耶もいたのではないかと思った。
「二人は其処で意気投合したと聞いているわ」
沙耶は聞いていると言った。
でも本当はその現場にいたのだ。
美紀の勘は当たっていたのだ。
(意気投合か? 私何言ってるんだろ)
沙耶は、小さくため息を吐いた。
美紀は小さく呟いて沙耶に目を向けた。
「もしかしたら、直ぐ結婚ですか?」
「ううん。姉は二歳年上で、短大で体育教師の免許を取ったの。男性が結婚出来るの十八歳からでしょう?」
「それじゃママから?」
沙耶は頷いた。
「プロレスラーになりたいと言う夢を叶えさせてあげたくてね」
「だからママは、中学の先生になったのか」
短大によって異なるが、栄養士、保育士など就職に有利な資格が得られる所がある。
中学の体育教師もその一つだった。
珠希は正樹の夢のために、正樹の生活を支えることを視野において体育教師の道を選んだのだった。
美紀は沙耶に甘えながら、正樹を愛した産みの母の苦しみことを思っていた。
正樹が大好きだった智恵は中学卒業後一人暮らしを始めた。
元施設長を保証人に頼んで、正樹の実家の近くにアパートを借りた。
少しでも近くにいたかったのだ。
そんな事情を知らない正樹は、結婚の準備を着々と進めていたのだった。
傷ついた智恵を慰めたのが美紀の父親である真吾だった。
心の底から愛を捧げて、また支えてあった。


