食事が済んだらみんなで後片付け。

私は自分ではないように感じた。

でもそれは、大好きな直樹君に喜んでもらうためだ。
私はそう勝手に判断した。


鉄製のフライパンをアルミホイルで磨いた後でIHコンロに掛ける。
充分乾いたら、油をひいた。


(そう言えばお母さんもやっていたな。あっ、そうか? 全部お母さんのやっていたことなんだ。そうかだから、出来るんだ!!)

私は自分が天才ではないかと思っていた。

でもそれは、母から受け継いだ経験なんだと考えていた。




 でもやはり、何だかみんなの態度がおかしい。
何処か私に遠慮しているようだった。


(女性だからかな? 良しそれなら頑張っちゃうぞ!)

一人心の中でガッツポーズを決めた。


「ねえ、何か食べたい物ある?」
私は早速行動を開始した。


「みんなで買い物に行こうよ。此処で暮らすためにはまず食材用意しなくちゃね」

私は三人にウィンクを送った。
その時みんなの顔が曇ったように見えたが、すぐに笑顔になった。


(何よみんな。せっかく……ま、いいっか)

私は性格まで変わってしまったようだった。





 買い物に出ようと玄関を開ける。
鍵を掛けるのは直樹君の仕事。


(やはり信頼されているんだな)
素直に思った。


私は楽しくなった。
思わずスキップしたくなる。

私がその勢いで置き石の上を門まで飛んだ。


玄関から門まで一直線に跳び石が配置されていた。

気が付くと三人は笑いながら私の真似をして追い掛けてようとしてくれていた。

私はそれだけで嬉しくなった。

振り返ると太陽が三人に当たり、シルエットを作り上げていた。


「キレイ……」
思わず呟いた私に、そよ風が笑いかける。

私はこれから此処で始まる生活が楽しくあることを太陽に願っていた。


飛び石のある庭を隔てて二つある棟。

コの字形の造りは、家族を大切にする想いが込められていると思った。