「何笑ってるの。俺達だって馬鹿じゃないよ。せっかく決まったチームなんだから、首にはなりたくなかったし」


「それでも気分だけ楽しみたかった訳ですね。ああ、それでブリーチ?」

ビールで頭を洗うと髪の毛が脱色すると誰かが言っていた。
私はそれを思い出していた。


「うん、それを秀が言い出して……、慌てて閉店間近なドラッグストアでヘアカラーを買って来たんだよ」


「えっ、お風呂場で?」


「いや、外で……」
直樹君はそのまま口籠ってしまった。


「えっーーー!?」
私は自分自身の言葉に驚き、ベッドから飛び起きていた。




 三月の寒い夜。
暑さ寒さも彼岸までとは言うけれど……


外にある水道で、慌てふためいて頭を洗う三人の姿が目に浮かぶ。

もう可笑しくて可笑しくて仕方ない。


「ク、ク、ク」
それはそれから始まった。

一旦笑い出すと止まらなくなった。

私はゲラゲラと大口を開けて爆笑していた。


大好きな人の前でやることじゃないと解っている。
でも私は、どうしても堪えることが出来なくなっていたんだ。

直樹君はそんな私に動揺しながらま、遠巻きに眺めていた。


でも何時までもそうしてはいられないとでも判断したのか?

直樹君は大きなスポーツバッグからこれ又大きな袋を取り出した。


「あっ、それが寝袋?」

私の質問に直樹君が頷いた。




 「ベッドメイキング大変だったでしょう?」

私は傍で寝袋の準備をしている直樹君に向かって声を掛けた。


「ううん。やり方解んないから結局使わなかったんだ」

直樹君は不思議なことを言った。


「それじゃ夕べは何処で眠ったのですか?」

私は返事を聞きたくて直樹を見つめた。


何だか判らないけど、私結構大胆になっている。
本当は相当シャイなんだけどね。