高校の卒業式は無事終わった。
最優秀生徒は、サヨナラ満塁ホームランを打った直樹が選ばれた。

校長先生は、恋愛バトルの結果報告をさせようと三人を校長室へ呼んだ。

それは校長先生の計らいでもあった。
卒業式の後、近くのチャペルで二人の結婚式があるのを正樹に打ち明けられていたからだった。


未だにバトルを繰り広げている三人を遠ざけるためだった。

でも三人にはある事情があり、そわそわしていた。


ある事情……
それは美紀の元へ駆け付けること。

三人はこれから、この恋に決着を付けようとしていたのだった。

そう……
名目上は、四人で顔を合わせられる最後のチャンスだったのだ。




 三人は最後の賭けに出ようとしていた。

それは大阪で美紀と暮らすために絶対に必要なことだった。

まずコーチのライバルだと言う、社会人野球チームのコーチに連絡を取った。
次に父には内緒でと告げて、美紀の祖父の家で下宿させてもらうことにした。


全てが美紀が大阪で暮らすための手続きとした。

それを真に受けて、祖父は二人の大阪暮らしをサポートすることにしたのだった。


だから家に帰った時、祖父を見て驚いた。

内緒にしていたことがバレたと思って震え上がったのだ。




 卒業式終了後正樹と美紀はチャペルに向かった。

大阪の祖父も先回りをいていた。

勿論美紀をエスコートするためだった。

驚いたことに、校長室にいるはずの三人も先回りをしていた。

三人は、校長先生の落ち着かない態度から何かを察し詰め寄った。

うっかり口を滑らせた校長先生。
やはり隠し事の出来るタイプではないらしい。


そのことを聞いて慌てて駆けつける三人。

だから何とか滑り込みが出来たのだった。


そして美紀に対して最後のあがき。

跪き、両手を差し出すタキシードの三人。

三人はお人好しの校長先生のお陰で本番前に間に合ったのだった。