身も心も大人になりつつあった沙耶。
でも沙耶には傷があった。
それは幼稚園時代に西村正樹に掛けられたコブラツイストと四の字固めの痛みだった。
松宮中学校は二つの小学校の子供達が集合する。
だから沙耶は憂鬱なのだ。
又あのヤンチャ坊主の正樹と再会するかも知れないからだ。
そう思うと足が心が疼いてくるのだ。
それでも沙耶は、今日から始まる中学生活を夢見ていた。
部活は軟式テニスに決めていた。
姉の珠希が部長をしていたからだった。
珠希はその頃から頭角を現していた。
だから沙耶は憧れたのだった。
あの日。
正樹を懲らしめてくれた感謝の意味でも。
入学式前。
貼り紙を見てクラスに行き、持って来た荷物を自分の名前の貼ってある机の上に置いた。
そのついでに、一つ一つ確認したが西村正樹の机はなかった。
「良かった」
沙耶は安堵の胸を撫で下ろした。
(これで虐められなくて済む)
沙耶は安心して教室を後にした。
入学式の会場の体育館へと向かう階段を降りていると一人の男性と体当たりしそうになった。
その途端に足がむず痒くなった。
「あ、マー君……」
何故解ったのだろうか?
それは沙耶の感とでも言うのだろうか。
「ん、誰だお前? あ、泣き虫サーちゃんか?」
その言葉にムカついた。
(誰が泣かせた? あんたじゃないのか!?)
沙耶は思わず正樹を睨んでいた。
「何だよお前」
正樹のその言葉に肩がビクッと上がった。
(あー、やはり無理だ。コイツには勝てそうもない)
沙耶は更に落ち込んでいた。
突然現れた正樹に沙耶は動揺した。
でも正樹は平気な顔をしていた。
保育園の時泣かせたことなど記憶にもない素振りだった。
沙耶は正樹がどの教室に入って行くのか見ていた。
驚いたことに同じクラスだったのだ。
確かに西村正樹の名前はなかった。
でも沙耶は知らないだけだった。
正樹は母方の家に引き取られて長尾正樹と名乗っていたのだった。
でも沙耶には傷があった。
それは幼稚園時代に西村正樹に掛けられたコブラツイストと四の字固めの痛みだった。
松宮中学校は二つの小学校の子供達が集合する。
だから沙耶は憂鬱なのだ。
又あのヤンチャ坊主の正樹と再会するかも知れないからだ。
そう思うと足が心が疼いてくるのだ。
それでも沙耶は、今日から始まる中学生活を夢見ていた。
部活は軟式テニスに決めていた。
姉の珠希が部長をしていたからだった。
珠希はその頃から頭角を現していた。
だから沙耶は憧れたのだった。
あの日。
正樹を懲らしめてくれた感謝の意味でも。
入学式前。
貼り紙を見てクラスに行き、持って来た荷物を自分の名前の貼ってある机の上に置いた。
そのついでに、一つ一つ確認したが西村正樹の机はなかった。
「良かった」
沙耶は安堵の胸を撫で下ろした。
(これで虐められなくて済む)
沙耶は安心して教室を後にした。
入学式の会場の体育館へと向かう階段を降りていると一人の男性と体当たりしそうになった。
その途端に足がむず痒くなった。
「あ、マー君……」
何故解ったのだろうか?
それは沙耶の感とでも言うのだろうか。
「ん、誰だお前? あ、泣き虫サーちゃんか?」
その言葉にムカついた。
(誰が泣かせた? あんたじゃないのか!?)
沙耶は思わず正樹を睨んでいた。
「何だよお前」
正樹のその言葉に肩がビクッと上がった。
(あー、やはり無理だ。コイツには勝てそうもない)
沙耶は更に落ち込んでいた。
突然現れた正樹に沙耶は動揺した。
でも正樹は平気な顔をしていた。
保育園の時泣かせたことなど記憶にもない素振りだった。
沙耶は正樹がどの教室に入って行くのか見ていた。
驚いたことに同じクラスだったのだ。
確かに西村正樹の名前はなかった。
でも沙耶は知らないだけだった。
正樹は母方の家に引き取られて長尾正樹と名乗っていたのだった。


