気付いてたか?と千景は問い、笑う。
「………そんなわけない。」
「ほんとだよ。」
「そんなわけない!」
俺が愛を求めるはずがない。
だって……
だって……
そんなもの求めても、誰も与えてくれない。
「……誰も愛してくれない。」
血の繋がった両親さえも俺を愛してなどくれなかった。
――あの日、俺は、
実の親に殺されかかった。
理由は忘れた。
思い出すのは、俺に向けて包丁を振りかざす父の姿。
それを止めもせず、ただ見る母の姿。
「………誰も………誰も」
――大切だったものは、全て無くした。
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