サウンド・ラップトップ

シンタとみゆきはいわゆる幼馴染み。

家が近所で親同士の仲がいい。

ただ、それだけだ。

信号待ちをしながら、

ふと思い出したという風に慎太は言う。

「あ。宿題忘れた」

「また!?

えー、国語? それとも、数学の方?」

「国語。ノート貸して」

目も合わさないで慎太は言う。

「お願いします、も言えないの?

……もう良いけど。それじゃ、

昼休みに返して」

さっとノートを渡す。

良くないけど、よくあることだった。

「サンキュ」

ノートを鞄にしまうと、慎太は急に走った。

気づけば信号は青だ。

「用事が済んだら用済みなんて、

薄情なやつ……」

そんなシンタに助けられるなんて、

この時はまだ想像すらしていなかった。