サウンド・ラップトップ

ほとんど聞こえないような、弱々しい声。

ただ、みゆきにはしっかり聞こえている。

「シンタ。ねぇどうして、

いつもいつもそんなちっちゃい声なの。

毎朝聞いてる私だからともかく、

普通なら聞こえないよ?それ」

みゆきの後ろには制服姿の慎太が立っている。

シャツが中途半端に出ていて、だらしない。

顔はそこそこイケてるとみゆきは思うのだが、

その顔で大あくびをする。

ねむそうだ。

「そかぁ?」

シンタは寝癖のついた髪をぼりぼりとかく。

バツが悪そうに目をそらす。

「シャツが出てるし。まったく、

ちゃんとしたらかっこいい方なのに

もったいないってば。

好きな人とかいないの?

こんなんじゃ、彼女できないよ?」

「んー…」