「なあ…そこで何やってんの?」
男子生徒はボールを持ったまま私に尋ねた。
「劇ですよ。ここの舞台は演劇部が使ってるんです。」
「へー。」
そう言って彼はゲームに戻って行った。
な、なんか……感じ悪……
演劇部がここを使っていることを知らないのは無理はない。
幕を閉じて演劇をしているし部活に来るときも帰るときも舞台側にある裏口を使っている。
私は幕を下ろし自分のポジションに戻ってまた聞き耳を立てていた。
「今ボール取った誰?」
「知らね」
「えーお前たち知らねーの!?特進クラスの夏井麻美!超美人で超クール!」
「特進クラスとか世界違うから」
私は目を瞑りその会話を聞いていた。
