恋、全速力。




「ん……。あれ…」

「春子!気付いたか?」

「大島先輩…えっと…」

「ここ学校の保健室。お前ぶっ倒れたんだよ」




そうだ。周りには白いカーテンがあって保健室の匂いがしている。そしてベッドで寝ているあたし。



隣には大島先輩。



どのくらい寝てたんだろ。



「あの……試合…」

「もうそろそろ終わるかな」

「え、行かなきゃ」

「ダメだお前!ひどい熱だぞ?」




確かにすごく身体がダルい。昨日からちょっと疲れてる気がしてた。



起き上がるのも辛い。




「もうっ。せっかくの試合だったのに…」



うっすらと涙が浮かんできた。



どうしてこうなのよ!せっかく風間くんの試合姿が見られると思ってたのに。



せっかく何週間かぶりに会えたのに。


せっかく好きな人が活躍するのに。




「しょーがねーよ。練習試合なんてまたすぐあんだろ」

「嫌だ。行きたい…」

「行きたいっつってもお前動けねーじゃんよ」

「大島先輩おぶって」

「ばかやろー、また体育館でぶっ倒れんだろ」




だってもう終わっちゃう…。