天井。

床。

ホワイトボードの端っこ。

汚い扉。


どこにもあたしの居場所なんてなかった。



窓を見つめた。空はうざいくらいに真っ青で、視力だけはやたらいいあたしの両目には、校庭を走るサッカーボールの表情まで映ってしまう。


「ねえ、石崎さん。あなたは副菜、どっちがいいと思う?」

生徒会役員の女子Bが話しかけてきた。

「どっちでもいい」

「でもみんなの意見もちゃんと聞きたいから……」

「どっちでもいいっつってんだろ」

「ちょっと石崎さん、ちゃんと参加してよ」

「るっせーな。お前らで勝手に決めてろよ!」

やべ。少し強く言い過ぎた。自分でも分かる。今のは、多分――。

女子Aが駆けつける。女子Cが慌ててハンカチを差し出す。女子Dは先生にチクりにいく。


「だっ……だって、ヒクッ、いっつも石崎さん……ヒクッ」

ほらすぐ泣くんだ。


「石崎さん」

東先生があたしの名前を呼んだ。その隣にいる女子Dはあたしから目を反らした。

あたしの中の何かが熱くなって崩壊していく。

その音を最近よく聞く。

がらがら、と

ごうごう、と



そいつは、あたしの足場を確実に消していくんだ。