「あらまぁ、信子ちゃん。どうしたのこんな朝早く」

奥さんは旦那さんと同じく、目をまん丸にしてあたしを見た。手にはネギを持っている。


「あの……ちょっと親とケンカしてさ。お願いだ。雑用でもなんでもいいから。頼む!」


つくね夫婦は顔を見合わせて一度頷いた。「ちょっと待ってなね」と言って奥さんが一度店の中へと入っていく。


奥さんが離れている間、旦那さんはあたしを気づかってか、他愛もない世間話をしてくれた。微笑程度のオヤジギャグも交えて。


三分程して奥さんが4人の子供を連れてきた。


「信子ちゃん、子供は好きかしら?」

「えっ、あーまぁ……うん」

本当はあんまり好きじゃない。うるせーしすぐに泣くしワガママだ。あいつよりかはまぁ、ましだけどね。あの家に帰るよりかはまだいいや。



こいつらはまだ諭吉を知らないし、酔って一升瓶を振り回しもしない。



「信子ちゃんにお願いしたいのはね、この子達の面倒を見て欲しくて……いいかしら」


「わかった。つーかこのガキ……、あっいや、この子達はどこの子なんだ? まさか奥さんの隠し子?」

あたしはガキ共にTシャツを引っ張られながら、奥さんに聞いた。