【TUBASA】

「お疲れっしたぁー!!」

終礼が終わり、俺はまっ先にコーチの所へ駆け寄った。コーチはマネージャー君と何やら打ち合わせをしているみたいだ。一枚の紙を二人で見て、あーだこーだ騒いでいる。俺は、話が終わるまで近くのベンチで休むことにした。

しばらくすると、コーチとマネージャー君が俺に近づいて来た。

「おい野口」


「ん? なんすかコーチ」

「お前はどう思う」

コーチが差し出してきた紙には、得体のしれない丸い物体が2つ描かれていた。


「なんすかこれ……まりも?」

「違う! 右下をよーく見てみろ野口。さあ、何て書いてあるかな?」


「ぱ……ぱ?」


コーチの顔が一気に明るくなる。しかしすぐにそれはしわくちゃになった。マネージャー君が紙を取り上げ、反論に出たからだ。

「野口先輩! 左下を見て下さい。さあ何て書いてある?」

「えっ……えーとー、お、おじじ?」

「じゃあじゃあじゃあ、どっちが可愛いと思いますか?」

マネージャーが2つの丸いのを交互に指差し睨んできた。

正直どっちもどっちだ。俺が返答に困っていると、遠くから俺を呼ぶユージの声が聞こえた。