あたしは、その言葉を打ち返す程の言葉を見つけられずにいた。ただあたしの
心臓が
頭が
手のひらが
それを受け止めて、微笑んでしまった事実は否めない。
あたしはほのかに熱くなった顔を隠すように手のひらを口に当て、そっぽを向いた。
「あんたよくそんな恥ずかしい台詞言えるな。ドラマの見過ぎだ」
「アハハハ、そーかもね」
濱村には、もう見透かされてしまっているらしい。
“孤独”を選んだあたしの本心を。
本当は寂しかった事を。
だけどもう決めたんだ。もう友達はいらない。
一人が楽だから。
痛い思いも辛い思いも裏切りも、無い。
「のぶちゃん?」
濱村が純真無垢な笑顔であたしに近づいてきた。
いや、こいつなら大丈夫かもしれない。
いや、結局最後には裏切るんだ。
いや、わからない。
いや、いや、いや――
「あれれ、のぶちゃんどこに行くのですかぁ」
屋上階段の無駄に重たい扉を開いた。何も言わずに。
ウサギの瞳に全てを見透かされているようで腹が立つ。
あたしに構うな。
もう……二年前に戻りたくはないんだ。


