ジレンマ(仮)




昔から亮太は掴みどころのない性格をしている。

何を考えているのか、全くわからない。

それでも今は、亮太以上にカケルが何を考えているのか分からなくなってしまったのだけれど・・・。

亮太と話していると度々沈黙が生まれる。

いつもはその沈黙が心地いいのだけれど、今日はなんだか落ち着かない。

心がザワザワ言っている。

きっとカケルの名前が出てきたからだ・・・。



「・・・そういえば、亮太部活は?」



ふと、亮太がユニホーム姿なのに気がついた。

亮太は野球部に入っている。

この学校はそんなに野球部が強いわけではなかったのだけれど、今年は甲子園も期待できるくらい強いチームになっているみたいだ。

亮太はそんな中で4番という大役をつとめている。
それにキャッチャーでもあり、試合をリードする大事な役割も持っている。

それから亮太は類稀な野球センスを持っているらしく、いろんな所から声が掛けられているみたいだ。

それに背も高いしクールな顔をしているから、野球を知らない女子にも人気があるとかないとか・・・。

まあ、その辺のことは私にはよく分からない。