ジレンマ(仮)




亮太は気にした様子もなく靴を履き始めた。



「え・・・あー・・・いや、まさかとは思うけど・・・2人は、実は付き合ってたりとかする?」



カケルは少しビックリしたような素振りを見せ、冗談っぽく聞いてきた。



・・・何その質問。

悲しくなった。

一気に泣きたくなった。

胸が締め付けられ、チクリと痛んだ。

私の気持ちに気付いているのに、そう言う事、何で言うの?

ものすごく、居た堪れない気持ちになった。

切なすぎるよ・・・。

早くここから逃げ出したい。

カケルとなんか、もう一緒に帰りたくない。

すごく心が痛い・・・。



「そうだけど?」



冷静なまま亮太は答えた。
本当に顔色一つ変えずに。



「「え?」」



カケルと私の声が重なった。
亮太の発言に、驚いたのは私だけじゃなかった。


いやいや、何言ってるの?!

何でそんな嘘を・・・?!


当然だけど、私と亮太は付き合ってなんかいない。

あまりに驚きすぎて、泣きたい気持ちも何処かに飛んで行ってしまった。



「本当?沙月・・・」



カケルが嘘だよな?という不審な顔で私に聞いてきた。



「いやいや、私も今始めて知ったよ!そんな事実があったなんて!!」



私の発言に、亮太は何の前触れもなく、堪えきれないように笑い出した。