とけていく…

「買い物、頼まれてるの? エライじゃん♪」

 彼の横に並び、買い物袋を指差しながら、彼女は言った。

「違げぇよ。俺、今一人暮らしだから。」

 彼がそう答えると、紫は意外そうな顔を向ける。

「一人暮らししてるの?」

「おう。親父、去年からアメリカに行っちゃったから。」

「え、そうだったんだ」

 彼がうなずくと、会話は途切れてしまった。ほんのしばらく黙って歩いていると、紫の視線は足下を見つめて歩いていた涼の横顔を捉えていた。

「あ、ねぇ、涼、これらかヒマ? 荷物、家に置いたら、どっか行かない?」

 紫の唐突の誘いに涼は少しびっくりした顔を浮かべていたが、懐かしさに背中を押されたのか、彼は快くうなずいた。

「やった! ヒマで死んじゃいそうだったよ。あたし、駅のコンビニで待ってるから、早く来てね!」

 紫は嬉しそうに踵を返して駅に向かっていった。それを遠目で眺めていた彼も再び歩き出し、足早に家へと急いだ。