常初花


「…いつもすみません。…1個だけで」



そう言って、恥ずかしそうに頬を染めながらも、ふわりと笑った彼女は。


やべぇ、可愛かった…!



「いえ!とんでもない、毎日ありがとうございます!」



焦って、深々とお辞儀をする。


いつものように軽く会釈してレジを離れていく彼女。


いつもと違ったのは、俺を見て微笑みながらのそれだった。



あー…!
やべぇ!


視線が合って、笑ってもらえただけで嬉しいとか、中学生か俺は!
いや、今時中学生のがもう少しマシな恋愛しとるはずだ。



「…ちょっと。クッション抱いて悶えてないでさっさと売上入力してよ」



気持ち悪い、とか。
小煩いオカンのセリフも今はどーでもいい。