美波side


全速力で走れば、あっという間に店につく。

「ハァハァ…ゼェゼェ…」

久し振りの全力疾走は、短距離だったのに身体を疲労させた。


「ゆう‼」


店内をぐるっと見回せば、席に座るゆうがいた。


ゆうに駆け寄り、抱き締める。

ゆっくりと手を放してゆうを見れば、不安げな顔で俺を見上げてきた。


伝えなくちゃならないことがある。

聞いて欲しいことがある。

「ゆう、聞いて欲しいことがある。聞いて、くれるか?」

ゆっくりと問えば、ゆうも頷いてくれる。


「俺は、ゆうが好きだ。大好きだ。ゆうがいないと生きていけないから、愛してるとも言える」

俺は、口がうまいとは言えない。

聞く側からしたら、拙い言葉の羅列かもしれない。

それでも、聞いて欲しい。