恋する指先

「中学になって、美伊と離れて、少しは楽になると思ってたのに、全然ならなくて・・・・・。美伊は美伊で、俺に話しかけようと近づいてくるし」


 細める視線の先が私の向かって、恨めしいと言わんばかりの視線を向けられる。


 だって、だって・・・知らなかったんだもん。


 避けられてる理由とか、さ・・・・・。


 
「まあ、言わないと分からないよな、そんなの」


 ふっと優しく笑う榛くんの笑顔に、ドキンッ!と胸が鳴る。


 早くなる鼓動に息が苦しくなる。



「おまけに幼なじみって分かると、美伊の事、紹介しろって言われるのも嫌だったし」


「え・・・?」



 そんなの、初耳だけど?


 きょとんとする私を見て、榛くんは溜息を吐いた。



「自覚無し、だしな・・・本当。だから、余計に知られるの、嫌だったんだよ。幼なじみって」



「ん~???」


 何?紹介しろって言われるのが面倒くさかった、って事?


 
「美伊、お前、結構、人気あるんだよ。男の中で」


「え・・・?えぇぇぇぇぇぇぇ!!!???」



 叫ぶ私の声が、朝の公園に響き渡った。


 そんな事、ある訳ないと首を振る。


 告白とかされた事もないし、男の子から声を掛けられたこともない。


 そんな私がに、人気があるとかって・・・・・ありえない。


「ないないないない」


 全否定の私を、可笑しそうに見る榛くんは、これだから・・・とまた、溜息を吐いた。


 
「なんで全否定なんだよ、あるって言ってるのに」



「だって・・・だって、男の子に話しかけられたりした事、ほとんどないし。・・・・・告白、されたこともないもん」


 言ってて恥ずかしい告白だった。


 男の子に免疫がないって自己申告してるのも同じだもの。



「今までは、だろ?彼氏いるって思われてるしな、美伊は」


「はぁ!!!???」


 ますますビックリする。


 彼氏?


 17年間存在してないんですけど?


 それがなんでいるってなってる訳?


 もう、何が何だか分からなくなってきた―――――。