*梨里Side*

今日、私は涙はこんなに出るもんなんだっていうくらいに、泣いた。

家に帰ってからも太雅との思い出が次から次に溢れ出て来て、あぁこんなに好きだったんだなって実感した。

でも、私は遊ばれてただけだったのかな。

私は、騙されてたのかな。

全然気付かなかった。あれが嘘だなんて。

あの優しさも。

「愛してる」って言ってくれたことも。

全部……

「ふぇーん」

いかん。また声が出て来てしまった。

こんなんじゃ声聞こえちゃうよね。

私の部屋のゴミ箱はティッシュでいっぱいになっていた。


―――次の日。

朱音に、昨日会ったことを全て話した。

「何それ!?太雅くん、最低!!そんな人だったの?」

朱音は、自分のことのように私のことを考えてくれた。

「でも、いけないのは私なの。太雅には本命の恋人が居たから。私は浮気相手の分際なんだよ。自分が若奈さんだったら、私は浮気相手を憎むもん。当然のことだ……んーー」

んーーって変な泣き方しちゃった。

「梨里、あんたは悪くないよ。こんなに泣いて。こんなに辛い思いしてるって分かるから。ね?」

よしよししながら言ってくれた。

私は涙をぬぐって、

「よしっ!簡単には振りきれないけど、きっぱり別れて徐々に忘れる努力する!!今回は、いい経験だったって思おう!次からはこういう失敗しない!」

と言った。

朱音は、「うん、梨里がそう決めたなら、精いっぱい応援する!梨里、大人になったね」

って泣きながら言ってくれた。

明日、ちゃんと自分の気持ちを太雅に伝えよう。

上手く言葉にできるかはわからないけど、正直な気持ちを。