*太雅Side*

「私は浮気相手なんだよね?」

梨里のその言葉の意味が分からなかった。

「は?どういうことだよ」

「太雅には、本命の彼女が居るんだよね」

「いねぇよ」

「若奈さん」

「……」

「ほら、黙った。それに切なそうな顔した。ごめんなさい。私、太雅と若奈さんの邪魔してた」

「ちげぇよ」

―――ピーンポーン

「出なよ」

梨里にそう言われたから、玄関まで行き鍵を開けた。

「やっほ♪太ちゃん」

チュッ。

キスをされたけど、それを抵抗する気力もなかった。

「り、りちゃん?」

「若奈さん……」

は?なんでこいつら知り合いなの?

「どうして梨里ちゃんがここに居るの?」

「あの……」

「ちょっと後ろ向いて!」

梨里の体を無理矢理後ろ向きにして、若奈は自分のスマホを取りだした。

「そっくり」

そう言って写真を見せてきた。

2人きりでいるときに、後ろから撮った写真を。

「あなただったの?」

「……」

黙りこくる梨里。

「おい!ちょっと待て!若奈、お前何なんだよ。梨里とどういう関係なんだよ!?」

「それは私のセリフよ!」

若奈がいきなりキレ始めた。

「さっきから、話についていけねぇよ……。何なんだよ……」

「……太雅、私が全部悪いんだよ」

梨里が言った。

「そうよ!梨里ちゃん、裏切ったのね!」

「若奈さん……すみませんでした。でも私、本当に何も知らなかったんです。もう太雅……太雅くんとは関わりません。本当にすみませんでした」

「許せないわ!出て行って!!」

「……はい」

「おい!!梨里!!」

俺は走って玄関を飛び出していった梨里を追いかけようとした。