学校は、もう春休みとなっていた。

俺は家でのんびりと過ごしていた。

あと1年で卒業するのかとか考えながら。

―――ピーンポーン

梨里か?

「おぅ、梨……」

扉を開けた先には若奈が居た。

「おう☆」

若奈は「おう」なんていうキャラじゃない。

「太ちゃんの彼女は、おうって言うような下品な彼女なの~?」

そう言いながら人の家にズカズカと入ってきた。

「何で俺んち知ってんの?」

「この間太ちゃんとカフェに行った時、太ちゃんがトイレに行ってる間、カバンの中にGPSを入れておいたの。ここでGPSが止まることが多かったから、お家はここかなーって見当がついたってわけ」

「やることがいろいろ汚いな」

「そんなことでもしなきゃ、社会で通用しないわ」

「で、何の用?できれば早く帰ってほしいんだけど」

「んっも~。そんな冷たいこと言わないでさ」

「何?」

「抱いてよ」

「は?」

「抱いて」

「無理」

「そう言うと思った。ハイ」

そう言ったと同時に見せてきたのは、この間、俺と若奈がキスしてる写真。

「これ、だれが撮ったんだよ」

「んー。私の家来的な!?キャハッ」

「は?意味わかんねえ。だったらその家来に抱いてもらえよ」

「……嫌」

俺に抱きついてきた。

「離れろよ」

「この写真、北原梨里に見せるから」

「やめろ」

「じゃあ抱きなさいよ。簡単でしょ、あなたになら」

このまま、梨里との関係を守るか、自分の体を犠牲するか。

そんなの一目瞭然だ。

俺は若奈を近くのソファに押し倒した。

「これだけは言っとく。キスは絶対しない」

そして、若奈を抱いた。