「じゃ。いつでも連絡して」

カフェを出た時、若奈は俺に名刺を渡してきた。

そこにはもちろん電話番号とアドレスが掲載されていた。

「多分……しないと思う」

俺はそう告げた。

「わからないわよ。その彼女のことなんて放って私のところへ来るかもしれないし」

「それはない」

即答した。

「もう。相変わらず子供ね」

そう言って、ヒールの音を響かせながら去っていった。


―――次の日

いつものように梨里と一緒に帰っていた。

「ねー、太雅」

「ん?」

「最近、元気ないね」

「そんなことないよ」

「そう?ならいいんだけど」

自分でもわかってる。元気がないことくらい。

突然若奈が俺の前に現れて。

……!

そういえば昔……。

俺、若奈に告ったんだ……。

で、振られらんだ。

俺の本当の初恋は、梨里じゃない。

若奈だったんだ……。