*梨里Side*

「あおくん、楽しかったわ」

今日はあおくんの引っ越しの日。

学校に近いアパートで、一人暮らしが始まる。

お母さんは余程寂しいのか、涙を流している。

「お世話になりました。梨里、また学校でよろしくね」

「うん」

そう言って、あおくんを見送った。


―――1週間後

「梨里、お隣さんから、いっぱい野菜貰ったんだけど、あおくんに届けて来てくれない?」

「えー、めんどくさいなー」

「お願い」

「……はい」

お母さんが鬼の顔になる前に引き受けた。

私は自転車であおくんの新居に向かった。

―――ピーンポーン

……出ない。

―――ガチャ

……ドア、空いてる。

え!?

心配になって玄関に入った。

「あおく……」

リビングが見えた瞬間、私の声が止まった。

「葵、ダメッ……//」

「可愛いよ」

「……」

そこに居たのは……

あおくんと朱音だった。

「り、梨里!?」

朱音が驚いてこっちを向いた。

洋服がはだけている。

「……あおくん!!!!!!!」

「……何だよ」

「朱音に手を出すなんて許せない!バカバカバカ!!」

「ち、違うの。梨里……」

「へ?」

朱音が続けて、

「私たち、付き合ってるんだ……」

と言った。

「え~~!?!?」

「そう。お前の家出たのも、朱音と付き合い始めたから」

「はぁ……」

いまいちリアクションができない。