コンコン

「はーい」

ノック音に返事をした。

あおくんが入ってきた。

「何?まだ一緒に住みたかった?」

怪しい笑みを浮かべながら聞いてくる。

「全然」

「そんなことないくせに」

私は気付いた。

あおくんにははっきり物事を言わないと理解してもらえないということを。

「あおくんが来てから、私の幸せな毎日が一変しちゃったよ。……でも、色々分かった。太雅くんの大切さも、朱音の大切さも……」

「お前は本当に太雅のことばっかだな」

「だって、大好きだもん」

「分かった。俺、梨里のこと諦めるわ」

「は?」

「キスまでしたのに気付かないとはホント馬鹿だよな」

何を言ってるのかさっぱり。

「俺」

私の目をまっすぐ見て言う。

「お前のこと、ずっと好きだったよ」

「え……」

「アハハ!やっぱ気付いてなかったんだ」

笑いながらそう言うけど、突然のカミングアウトにどう対応したらいいのか分からない。

「私……あおくんのこと、そんな風に見たこと無くて、なんていうか……」

「もう分かってるから。だから諦めるっつってんの。ただ、俺がここの学校を気に入ったのはホントだよ」

「そうなんだ」

「そ。だから、3ヶ月契約は撤廃!」

そうだったんだ。

友達としてならあおくんのこと大好きだから、これからも仲良くさせてもらおう。