―――もう冬に差し掛かり、だんだんと寒さが厳しくなってきた。

只今、我が家は食事中。

「あおくん、そろそろうちの学校とはお別れだね」

何となくそう思ったから言ってみた。

もうすぐ、約束の3ヶ月が近付いてきているから。

「あ、その話なんだけど」

お母さんがモグモグ食べながら言う。

「ねっ?あおくん♪」

お母さんのこのテンション……嫌な予感しかしない。

「はい。梨里、実は僕、この学校すごく気に入ちゃって。だから、卒業まで、この高校に居させてもらうことになったんだ」

あおくんの表裏の態度にはもう慣れた。

って、うっそ~~!?!?

「え!?ってことは……まだ一緒に住むの?」

「私、言ったのよ。卒業までうちに居ていいって」

お母さんが少しさみしそうに言った。

「でもあおくんが……」

「何?」

「僕、確かに梨里の家で過ごすことは楽しいんだけど、自立を考えたいなって。学校の近くの安いアパート借りて、一人暮らしに挑戦してみようかな、って」

「ふぅん。それならいいや」

思わず心の声を漏らしてしまった。

「梨里!何よその言い方」

「お母さんって……どんだけあおくんのこと好きなの」

呆れたように言ってしまったけど、気に入り過ぎだ。

「オムツのころから知ってて、こんな立派になって……」

「あっそう。ごちそうさまー」

「ちょ、梨里!自分で聞いといて!」

そんな言葉は無視して、自分の部屋に戻った。