教室に入るなり、私はクラス全員の冷たい視線を浴びることになる。

「え……?」

思わず声が出た。みんなが見てた写真は……

あおくんと私がキスしてる写真だったから。

「梨里?」

「朱音……」

風邪平気? 違う!!

えっと、

「太雅くんは今竜星くんと屋上で話してる。葵くんはまだ来てないよ」

いじめ女が私に言う。

―――早く太雅くん!教室に戻ってきて!!

ガタン!

教室の扉が開いた。

「太雅くん……」

「何?」

みんなからの視線に驚いてる。

「太雅くん、梨里は転校してきた男の子と、もうこんな関係になっちゃったみたいよー」

「あー、知ってる」

「えっ!?」

周りがザワザワし始める。

「俺、目の前で見たし」

半笑いで言う太雅くん。

「じゃ、もうこんな女とは別れなさいよ!」

「あのねー、それ、葵が無理矢理キスしただけだから。勘違いすんなよ」

「そんなはず……」

「あるんだよー。な、梨里?」

私っ!?太雅くんと女の話に追いつけなくて……。

「あっ、うん」

一応返事。

「ま、そういうことだから。あと、梨里お前嘘ついただろ?」

「へ?」

「上履き、あったぞ」

そう言って、太雅くんは私の上履きを見せた。

さっきから持ってたってこと!?

気付かなかった。

「なんで上履きが屋上にあったのか不思議だけど、ご丁寧に梨里って名前があったからさ」

「そうなんだ……ありがとう」

チラッと女の顔を見ると、悔しそうな顔をしている。

やったね!!

って、私は悪魔……?