*太雅Side*

「ん……?梨里?」

梨里らしき人を見つけた。

食堂に行くらしい。

声……かけてみるか。

そう思い、小走りで梨里を追いかけた。

すると、、、

理科室から手が伸び、梨里が連れ込まれた。

俺はダッシュで理科室へ向かった。


*梨里Side*

男の片手で私の両腕は手錠をしたようにくっついている。

もう片方の手では、私の口をふさいでいる。

真っ暗な理科室がより怖い。

私は、

「んー!!!」

と暴れた。

「しーっ。静かに。僕の名前は江頭太郎。キミのこと、ずううっと見てた。もちろんアイツより前から」

怪しげに笑う。

アイツって……?もしかして太雅くんのこと?

「もう別れたんだろ?僕に乗り換えたら?」

……気持ち悪い!誰か助けて!

目の前の男が私の胸を触り始めた。

「……ぃゃ」

怖くて声が出ない。

男の片手が私の口から離れたと思ったら、顔が近づいてきた。

厚ぼっこい唇。

キスされる……!

そう思い、絶望しかなくなった瞬間……。

―――バーン!

勢いよくドアが開き、電気がついた。

「おい!!」

「……太雅くん」

男は太雅くんにビビったらしく、私から手を離した。

私は床にペタンと座りこんでしまった。

「てっめー」

太雅くんのそんな怖い顔、初めて見た。

いっぽう男は、太雅くんの迫力に震えている。