俺がここまで北原梨里に想いを寄せたワケ……。

それは……、


――――高校1年の、秋深まってきた頃。

「痛って!」

自分で言うのもなんだではあるが、運動能力は高い方だ。

なのに、最大の高さの跳び箱でハンドスプリングをしたら、不注意で、着地に失敗し、思い切り手から落ちてしまったのだ。

「坂口、平気か? 保健室行って来い」

体育の先生にそう言われる。

このままじゃ、何もできそうにないからな……。

「はい」

そう言って体育館を出て、保健室に向かった。