焦がれて





教室に入るといいタイミングでチャイムが鳴る


席に座るといつものように話しかけてくるショウヘイ君



「トイレ長かったなー」


「うん」


それ以外に返す言葉が見つからない私は前を向いて授業を聞いているふりをした




先生の話を聞いているつもりなのに、ふと違うことを考えてしまう


二人で帰ったのかな、とか

アイって呼んでるのかな、とか

私と電話してるとき二人はどんな距離にいたのかな、とか



考えないって決めたはずなのに、




「せんせーい!岡崎さん体調悪いんだってー!」



後ろから突然聞こえた大きな声に意識を取り戻す



「え?」


慌てて振り返ると、こちらを見ていたショウヘイ君と目が合う