焦がれて





「あの日の帰りさ、彼女との電話聞いて思わず泣いちゃった。あたしのときとはぜんぜん違うんだもん。」




電話を聞いて?


頭が真っ白になる。



あたしと電話してるときに、元カノといた?


もしかして、お風呂上りに掛けた、あれ?




「でも、…」


「そんな顔しないでよー、ってかやばい。チャイム鳴っちゃうよ!いこ!」



あわててトイレを後にした後輩二人。私は残され一人になる。





じわじわと湧き上がるいやな感情に蓋をする


疑問もすべて、忘れる




何も聞いてない、私は何も聞いてない



そう言い聞かせてトイレを出た