焦がれて



しかしそんな必要もなかった。






ガラガラ、という音が後ろのドアから聞こえクラスの意識がそちらに向かう




入ってきたのは少し気だるげな陸人。





「おい田嶋!遅刻だぞー!」


シンとした教室に似合わない楽天的な声にクラスが微笑する


何も言わない先生の代わりとでも言うように、後ろのショウヘイ君が大きな声を出したのだ



「うっせ」


からかわれた陸人は冗談を軽く受け流す。


そしてショウヘイ君に向けていたその視線を、後ろにいるあたしに一瞬だけ向けると席についた。




そして担任の解散という適当な言葉とともにクラスが一気にざわめく





陸人に話しかけに行こうとすると、



「陸人珍しいな遅刻ってー」


陸人の周りにはすでにショウヘイ君を含めた男友達たちが集まっていた