焦がれて




件名はなし。ただ一言「おやすみ」とだけ。



心臓が高鳴るのが分かった


やっぱり、勘違いじゃなかったんだ



そう思うと嬉しくなって、あの低すぎない声が聞きたくなった



メールが来てからまだ10分も経ってない




夕方までは重くて重くて押せなかった通話のボタンが今はとても軽い



数回でコール音が止まる



「もしもし?」


『うん、もしもし』


待ち焦がれた声とともにスピーカーから漏れる音



「あれ、まだ外だった?」


『ん、帰ってる途中。どした?』