『まぁ、端から見れば馬鹿な事だと思うけどね。辞められないんだ』
伏せ目がちに話すハナビシさんの瞳の色が心なしか雲っていく。
どこか一線を引いて話すハナビシさんにこれ以上聞くことは出来なかった。
”………――ッ!!”
”……―、…――ッ!!”
『ん?あの2人また…』
沈黙した空間に響いてくる2階から漏れてきた会話。
だけど、会話と言うにはちょって激しすぎる。
どちからと言うと、言い争いに近い。
「だから、いいってば!!モエは寝てればいいじゃん!!ってか、年寄りはさっさと寝ろ!!」
「うっせぇな。喚くなクソガキ」
「アンタの方が五月蝿い。静かにして、琴実ちゃんが起きたらどうすんの!!」
先ほどより鮮明に聞こえるクドとモエさんの声。
部屋にいたであろう2人は、階段まで出てきているのだろう。


