私も彼と同じ。
心が変わってしまったんだ。
そしてあの夜。
私は赤い月を見た。
今までの日常が大きく変化した。
『おかえり。モエ、クド』
「やばい、やばい、やばい。あいつはやばい。くそだなくそ」
『……どうしたの、クド』
「やばい、やばい、やばい。近寄っただけで虫酸が走る」
『ねぇ、モエ。クドどうしたの?馬鹿の一つ覚えみたいになってるけど』
「ほっとけ。あいつは元から馬鹿だ」
ハナビシさんに言われて、眠りについてからどれくらいの時間が経ったのだろう。
ここはずっと薄暗いから、時間の流れが分からない。
『クド。やばいのは分かったから、ちょっと静かにしてあげて。琴実ちゃん寝てるから』
「やばいの最上級の表現ってなんだろうね!!そもそもやばいが最上級なわけ!?だったら、それを上回った場合、何て言えばいいわけ?世の中腐ってんな」
「…うるせぇな。お前の頭が腐ってる。とっとと風呂でも入ってこい」
クドはハナビシさんの言葉が耳に入らないのか、ひたすら“やばい”を口にして2階に上がって行った。