プルルルルー…、
モエさんとクドの言い争いをBGMにして私も黙々と箸を動かしている時、何処からか電話の音が鳴り出した。
『ちょっと、ごめんね』
ハナビシさんは静かに席を立つ。
会話は聞こえないけど、受話器を左手に持ちながら何かメモをとっていた。
『モエ、クド。仕事だ』
あんなに騒いでいた二人も、それを聞くないなや顔つきを変えた。
『14時ジャスト。ここだ』
ハナビシさんは、さっき書いただろうメモ用紙をモエさんに渡す。
そこで私は、今がお昼なんだと知った。
「おっ?やっとお出ましかい。随分と待たせてくれちゃってたね」
ソファーから立ち上がったクドは、何やら楽しそうにその場で両手を組んで上に向けて伸びた。


