部屋の片隅、薄暗い闇の中からゆらゆらと姿を現す1人の男。 その男が私を見ている。 目に見えない重圧で身体がいうことを聞かない。 心臓が押し潰されそうな感覚。 私はごくりっと喉を動かした。 全身を黒色で覆い、そこから見える肌がよりいっそう白く目立たせる。 圧倒的な存在感を放つ漆黒の瞳には、一体なにが映り込んでいるのだろう。 ナニモノにも染まる事のないその色はどこを見ている?