夢を見ていた。



私の硬く閉ざした瞼を開かせたのは、始まりの合図となっている眩しいく痛いくらいの光ではなく、



漆黒の闇の中で綺麗に輝く丸くて小さな赤い月だった。




どうして、私の夢の中では月の色が赤くなっていたのだろう。


どうして、暗闇の中なのに赤い月は輝きを放つ事ができたのだろう。



どうして、私はこんな夢をみたのだろう。



ああ、そうか。



私はまた空を見たいと思ってしまったからか…。


でも、私が願ってたのは赤い月ではなく澄んだ空に輝く無数の星。


月ではない。


星が見たかったのに。






所詮、夢は夢。


夢の世界に何を思ったところで、それは全て無意味なのだ。




夢を見れた。


ただそれだけでいいじゃないか。