『あれ…?モエ、クドは?』
「二日酔い」
窓際の椅子に座ると、煙草に火を着けるモエさん。
『モエ、ご飯は?』
「いらねぇ」
『また…。ちゃんと食べなよ。これからまた仕事だろ』
モエさんは、そう言うハナビシさんを気にする事なく煙を天に吐き出す。
そんな彼は、今日も真っ黒な服に身を包んでいた。
『ちょっとクドの様子を見てきますね』
ハナビシさんが2階に消えて、ここには私とモエさんの2人きり。
なんとなく、気まずい。
モエさんには、何とも言えないオーラが出ているようで、迂闊に話しかけてはいけない気がしてならない。
私が出しているカチャカチャと、食器がぶつかり合う音だけが響いていた。


