和泉高校の奥にある1つの教室。

教室のドアにはマジックで書かれた文字。
【特別教室】

この4文字が、今にも消えそうなくらいの薄さで残っていた。
特別教室には、一般生徒は一切近寄らない。

「特別教室ってホント不気味。」
「戸田が抜けて、今は新田だけだろ?」
「違うよ。仁戸部だよ。」
「あれ、そうだっけ?」

廊下で一般生徒の笑い声が響く。

新田であってるんですけど。
と、心の中で呟く。

特別生徒の私が言える勇気もないし。
いったって、笑い者にされるだけだから。

「おい、特別生徒が覗いてるぜ?」
「新田さーん、良かったらこっちおいでぇ?」
「だから、仁戸部だって!!」

ギャハハと迫力ある笑い声がさっきより大きく響く。
私はその光景を横目で見つめながら、その場を後にした。


新田叶恵。(ニッタ カナエ)
唯一の特別生徒である。
生きている意味も分からず、ただこんな腐った毎日をおくっている
必要のない人間です。