《奏太》

なんか、怒らしちゃった…

冷たかったかな。でもホントにあの人だけは見られたくなかったからなー。

コーヒー、買いにきたって言ってたけど、買わずに帰っちゃったし。

追いかける？
追いかけないで見捨てる？

難しいなぁ。でも、男なら追いかけるよねー

「ん〜」

追いかけるか！


ブレンドコーヒーを二つ抱えて、走り出したのはいいんだけど見当たらないなぁ

何気、足が早かったっ。


「ん〜。あ、いたっ！」

小さく、うずくまったように彼女がベンチに座っていた。

「ねぇ、冬島さん。さっきは すいませんでした。これ、忘れ物…。」

「えぇ、えっ！？」

んー、面倒だ。説明すんのも面倒だ。

「あの、さっき買いに来ただけだって怒ってましたよね？その…冷たくしてすいませんでした。おあびにどうぞ…」

「え、あ、ありがとうございます。」


よし、これでいいや。
俺の任務おーわりっと

「じゃ、オレ行きますんで。さようなら！」

「あ、はい…」

オレは元気良く歩き出したのだった。

なんで、泣いていたのか聞かれる前に去ればいい。逃げるが勝ちってやつだな！


タッタッタッタッタ…

後ろから走ってくるのは誰だろー、、


ギュッ…



「えっ」