「日本からドイツって、飛行機でどれくらい?」


「12時間くらいだな」


「遠いな」とつぶやくと、「寝てればすぐだ」と言われて頭をなでてくれた。


「修斗がドイツにいる間、一回くらい遊びに行ってもいい?」


「ああ」


「メール、してね。時間があえば、電話も」


「ああ」


こんな風に離れて暮らすなんて、生まれて初めて。


「私、頑張るね」


「俺も」


「スポーツニュース、毎日チェックするから」


「それ、結構プレッシャー」


おでこをくっつけ合って、笑い合う。


「おめでとう、修斗。夢を追いかけてる修斗、すっごくカッコいいよ」


寂しさを心の奥にしまってそう言うと、その寂しさまでもを包み込んでくれるような、優しいキスが降ってきた。