続・君の隣~サッカーボールを追いかけて~

「どうだか。……でも、よかったよ。里穂が楽しそうに仕事してて」


「修斗……」


修斗がギュッと、私を抱く腕に力を入れる。


「本当は、里穂が大学卒業するときに、プロポーズするつもりだった。でもせっかく資格を取ったんだし、働きたいよなって思ったら言い出せなくて」


「修斗」


「見んな」


顔を上げて修斗の顔を見ようとすると、頭を押さえられてしまった。


「働き出してからの里穂は、疲れたり大変そうな顔ばっかりしてた。そんな顔を見てると、里穂はやっぱり外で働くより、専業主婦の方が向いてるなって思った。ていうか、俺が勝手に傍で支えて欲しいって思ってただけなんだけど」


「ねえ修斗、顔見たい」


「今はダメだ。俺、すごい顔してるから」


チラッと修斗の耳を見ると、なんだか真っ赤。


きっと今の修斗の顔も、その耳みたいに真っ赤なんだろう。


そんな風に思ったら、なんだか笑えてきてしまった。


「なに笑ってんだよ」


「なんでもない。もっと話聞かせて?」